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21世紀に世界経済を席巻すると言われるBRICs(ブリックス)4ヶ国。その中でも、世界第3位の経済力を誇るようになると見られるインドは、かつて滅亡を経験し、英国の長い支配の中で苦しみ続け、独立達成後も流血に苦しみ続けた国であった。そんなインドが、いかにして現在のIT大国としての地位を築き、21世紀への輝かしい未来への道を開いたか。独立の志士たちの苦しみと栄光、そしてインドの将来について、書いた。
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本文見出しの文頭14. インドのIT産業と経済発展2

1991年、インドは国家破産の危機を迎える。


その危機を救ったのが、のちにソニア・ガンジーよりの禅譲を受けるマンモハン・シン(当時財務大臣・2006年現在首相)とチダンバラム(当時商工業大臣・2006年現在財務大臣)のコンビだった。

シーク教徒であり、現パキスタン領出身であり、なにより貧しい家庭から立身したマンモハン・シンと、米国ハーバードで教育を受けた左派にしてラジブ・ガンジーの右腕と言われたチダンバラムのコンビは、インド新世代にふさわしい思い切った政策を打ち出す。

国内流通の自由化・国営企業の民営化・外資の積極的導入・関税引き下げや、インド国内産業保護のための補助金廃止・情報技術(IT)省の設立・国内ベンチャー、とくにIT系の奨励、法人税免除。

といった改革が次々に打ち出され、インドは、いままで培ってきた力を遺憾なく発揮して国際競争の海のなかに漕ぎ出した。

それだけではない。危機こそが、旧習を打破する絶好の機会である。カースト制による弊害も、この経済危機をきっかけとしてうすらぎつつある。なにより、低カーストに生まれた人間にとってIT系にしろ理工系にしろ、教育を受けることによって社会的地位の向上もできた。そさらには国外が主であった高等教育を受けた人材の受け皿が、国内にも生まれつつあった。

米国でのITバブルをささえたのもインド系IT技術者であったが、そのITバブルが弾けた(といっても日本の土地バブルほどには酷くはなかったが)あとの米国企業を支えたのも、インド国内のIT企業だった。

インド人の米国での成功の秘密は、その技術力の高さと、独立の過程でつくられた自己主張の強い性格ともに、やはり英語であった。インド人の英語は、インド英語である。とはいえ、アメリカは、多様な言語背景のひとびとの集まる国である。上流階級のなまりなどというものも存在するかもしれないが、それとてもなまりである。正当な英語など存在しないし、移民国家であるから、さまざまなアクセントの英語に慣れている。インド人の場合は、ローカルの母語とインド英語を自在に使いこなしてきたわけだから、コミュニケーションには向かうところ敵なしである。

まったく同じ理由で、ITバブルの弾けたのちの米国の、アウトソーシングの引き受け先となったのもまたインドであった。

この場合には、ちょうどアメリカ合衆国との時差が12時間という、地理上の特性までがインドを助けた。アメリカ側で作業を煮詰め、終業時に案件を送れば、インドは丁度始業開始。インド国内の技術力の高さと立地条件に恵まれて、IT大国アメリカを影で支えるのは、ネルーやガンジーらの願いかなって高等教育を受けた、インド人技術者たちだった。

すでにソフトウェアの輸出においては、150%近い伸びを示している。

比較的安価な、英語を母語もしくは母語に近く操れる人材を供給できるインドに、アメリカ企業は電話でのカスタマーサービスといったものまでアウトソースする。

また、経済危機をのりきる過程でおこったインドとパキスタンの核実験合戦による経済制裁も、9・11同時多発テロに協力することによって実質上解除された。これについては改めて触れる。

インドでは、毎年15万人のIT技術者が「生産」されている。これについては、すでに触れた。

これは、教育という近代国家に不可欠な栄養にたいして潤沢な投資をし続けてきた結果である。

今後、そういった供給が過多になる懸念がないでもないが、といって第三世界の経済発展は必然的にインド人技術者の活躍のばを供給しつづけるだろう。

この面でのインドの未来は、まことに明るいといわねばならない。




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